縁
幼少期、思春期、著名人となった現在、石神氏が33年間踏み続ける土地が世田谷区三宿です。三軒茶屋〜下北沢まで徒歩圏内である傍ら、静かで生活匂も漂う閑静な住宅街。その一画に建つご実家で育ち、現在も ご両親と一緒にお住まいです。
必然と引き合う縁
―― 石神氏といえば、「ラーメン王」。ラーメン評論家としさまざまなメディアで活躍をされていますが、どんな縁で今の業界へ入ることになったのですか?
「TVチャンピオン」というテレビ東京の番組の、「ラーメン王選手権」で優勝をしたことがキッカケ。実際に声が掛かり始めたのは2回目に優勝したときなんだけど、その頃、ちょうどインターネットの普及が広がりをみせ、情報を求める人が増えていったんだよね。ただ、なぜラーメンなの?と訊かれたら、それは正直たまたま。どんなジャンルの料理でも、有名処は1度は食べたことがあったし、一度行ったら、味も店の雰囲気も憶えるからね。
―― それは、仮にラーメンでなくとも、日本食やイタリアンでも勝てる自信はあったと?
そうだね。有名なお店は、ほとんどのジャンルでも限られていて、僕は足を運んでいたはずだからね。あと、たまたまを補足するなら、その当時つきあっていた彼女が、番組を見て応募したのがラーメンだったんだ。もちろんその後、ラーメンについて研究することになったけど、題材となる料理がもしスイーツや日本食だったとしても、絶対に勝てる自信があったよ。
小学生の頃、自分の舌が人並み以上に発達していることに気付いてね、当時から色んなジャンルの料理を作るようになったんだ。勉強は苦手だったけど、食に関しての才能があるというのは感じていたんだ。ただ、その才能をどうやって活かしたらよいのか、10代、20代前半の僕にはわからなくて、不動産会社へ就職したこともあったよ。

―― そうなんですね。では、もし当時お付き合いしていた彼女が番組へ応募されていなかったら、サラリーマン生活を送っていたかもしれなかった、ということですか?
う〜ん。それはどうだろう・・・。確かにラーメン評論家にはなっていなかったかもしれない。ただ、僕は努力や我慢、勤勉といったことが苦手で、サラリーマンにはなれなかったと思う。それにできれば今こうやって、食のコンサルタントをやっている自分を運命だと信じたいよね。遅かれ早かれ、キッカケは違っても、絶対的な縁で今の場所にたどり着いていて欲しい。

―― 食と絶対的に結びついている実感が、石神氏の自信の源にあるようですね。
ホームグラウンド
―― 石神氏にとって世田谷とはどんな街ですか?
世田谷は「遊び」があり一息つける場所かな。三宿周辺には、昭和から続く空気と平成の新しい空気が、混ざりあっているんだよね。
昭和30年頃から続く喫茶店や劇場があれば、いまどきのカフェもある。街をふらっと歩くと、まだまだ発見できていない遊び場も多くてビックリすることもある。新しい流行と長く続く古い風情が入り混じっても排除し合わない、開放的で不思議な街だね。
あとね、街がいろいろだから、住む人の個性もいろいろで、僕はそんなところが楽で好きなんだ。

―― 東京の中でも、街によって人の雰囲気は違いますか?
全然違うと思うよ。僕は「遊び」が大好きだから、六本木や恵比寿、新宿にも足を運ぶけど、例えば六本木ヒルズ、高い金出して住んでも、住み疲れてしまう気がしない?

―― '住み疲れる'ですか?
そう、住み続けることにくたびれ果てると思うんだ。六本木ヒルズに住むとなったら、いつも気高く、品のいい物持って、それなりの自分を演出しないといけなくなりそうじゃない。生まれながらにセレブであれば話は別だけど、庶民的に育った僕は毎日演技をしないといけなくなる。遊びで出かけるにはいいけど、ホームベースに帰ってまで人の目を意識するなんて楽じゃないよ。
ほら、深夜何も考えず、くたびれたT-シャツにジャージでコンビニやラーメン屋へ行きたくなるときない?

―― あ、あります。
六本木ヒルズだと、それ相当の勇気をもってしないといけないから、結局人目を意識して身なり整えるほうが楽になっちゃうんだよね。ひどく疲れたときにそれだと、一体何のために、誰のためにそんな不自由な場所に住んでいるんだって考えちゃうよ。
やっぱり生まれた街であり、自由な風土の三宿に居心地のよさを感じるね。

―― 人それぞれに似合う街、街と人が引き合う縁が存在していそうですね。
縁は突然やって来る
―― 有名になられても、変に意識した装いもなく普段着で街を歩かれますが、不意をつくハプニングに驚かされたなど、記憶に残る事件はありますか?
ラーメン評論家とし活動するようになってしばらく、雑誌、テレビ、著書とすべてのメディアで僕は決まってオレンジ色のT-シャツを着ていたのね。

―― あっ、わざとだったのですね・・・。
そう、トレードカラーとして決めていたんだけど、なかでもパンダの絵柄が中央に入ったT-シャツが気に入ってて、プライベートでもよくそれ1枚で下北沢をふらっと歩いていたんだ。ある時、ずっと後を着けてくる人の気配を感じてね。

―― 熱烈なファンですか?
僕もラーメンフリークの誰かがつけて来ているのかと振り返ったら、僕と似たようなT-シャツを着た青年が立っていてね、少しずつ近づいてきたんだ。ケンカ早いほうでもあったから、久々にやるかって、ちょっと熱くなっていたら・・・
「そのT-シャツ、僕が書いたんです。いつも着ていただいてありがとうございます」って拍子抜けする声で言われちゃって・・・(笑)。

―― えっ、どういうことですか?
彼はそのT-シャツのデザイナーで、僕がよく着ていたのを知り、声を掛けてきたんだよね。下北沢のデザイン事務所で働いているんだけど、それを機に、そのデザイナーsin君とはよく飯も食いに行く仲になったんだ。人の縁ほど不思議なハプニングはないかもね。

―― 確かにそうですね。私がこうして石神氏にインタビューさせていただけるのも、もとはラーメン店「海神」を取材させていただいたご縁から。ありがとうございます。
【処】街のあの人がお勧めするとっておきのスポットをご紹介!
ツリボリ 三軒茶屋 (つりぼり さんげんちゃや)
中学生の頃、通いつめたツリボリ。 今も懐かしくふと訪れる、遊び場。
小さな子どもからおじいちゃんまで、夢中になって金魚を追いかけます。
40年の歴史をもつ、屋内釣堀。屋内は女性一人客からカップル、家族連れまで、幅広い層のお客さんでひしめきあっています。釣った魚の大きさに応じたポイント集め、Myサオをキープするほどまでになったら達人!週に1度は訪れる常連さんから、観光途中にフラリ立ち寄る一見さんまで、三茶のシンボル的スポット。
ツリボリ 三軒茶屋
住所 世田谷区太子堂4-18-1 [地図をみる]
電話番号 03-3412-3950
営業時間 【平日】12:00〜22:30
【日・祝日】10:00〜22:00
交通手段 東急田園都市線「三軒茶屋」駅から徒歩2分
料金 1時間あたり
【男性】600円  【中学生以下・女性】500円
※景品と交換できるポイント
魚1匹・・・1点 /  30cm以上の魚・・・10点
街の案内人プロフィール
石神 秀幸  氏

▲ ご自宅の仕事部屋にて
1972年 世田谷区生まれ。

10年前、TVチャンピオン「ラーメン王」選手権に出場優勝。以後評論家とし、メディアを中心に各界で精力的に活動。2003年、食のコンサルタント会社、有限会社ゼッター(現、株式会社ゼッター)を設立。

現在、ラーメン本の執筆をはじめ、レストランなど飲食店のプロデュースやカップヌードルの開発コンサルタントなど、幅広く「食」の業界で活躍中。
石神氏がプロデュースした「海神」にて「あら炊き塩」を食す。
本多劇場の前にて。劇団をつくり脚本を手掛けていたことも。
スズナリ劇場前にて。いかにも監督!演出家!漫画家?と覗える人物を背にパシャッ。
スズナリ劇場傍の「ポテチ・バー」にて。ポテチが美味しく、デザイナーsin氏もお気に入りの場所。
本日お勧め処で紹介する「ツリボリ」の前にて。釣りも結構、自信があるとか。
>>Vol.2「技 〜仕事の風景〜」へ    



新宿区タウンTOP  >  この街あの人! 石神 秀幸 氏

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