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Vol.1「縁」では、今の業界へ入るキッカケから、世田谷への愛着、人との偶然の出会いについてについてお話を伺いました。Vol.2では、彼の仕事の顔をクローズアップします。美味しいラーメンとは、これから流行るラーメンとは、今後のラーメン業界はどうなっていくか、ご意見をいただきました。
美味しいラーメンは、勘、そして油と塩が決める
―― これまで、数々のラーメンガイドを刊行されていますが、石神さんが旨いと選ぶラーメンに、基準はありますか?
どんなラーメンが旨いのか、実はその質問が一番訊かれることなんだけど、結局は旨いと感じるかどうかだよね。
そして、これはラーメンに限らず、音楽や映画などあらゆる分野の評論でもいえると思うんだけど、「良い」と感じる感性には個人差があって、誰もが旨いと感じるものはないと思う。だから、僕と同じように美味しいと感じてくれる人もいれば、納得がいかない人もたくさんいると思うんだ。
読者にとって評論家は、自分が掛けられないたくさんの時間を費やし、良い物を見つけてくる専門家であるから、自分の嗜好と合った評論家をみつけることが大切になると思う。そうすれば回り道をせず、自分に合ったものと出会うことができるんじゃないかな?
―― なるほど。では、石神さんが旨いと感じる決め手となる味の要素は?
油と塩だね。ラーメンがこれほどに進化したひとつは、油にあるんだ。最初に届くのが油の香りだし、必ず口に当たるものも油で、油の味と風味が、ラーメン全体の味を大きく変えている事は間違いないよ。ニンニク、かつお、エシャロット、ホタテなど、今では、さまざまな素材がラーメンの油に使われているからね。

塩は、ラーメンに限らず、すべての料理の味を左右する決め手になる。塩があって料理は成立するものだから、その塩がキマッているかどうかで、ラーメンも美味い、まずいに分かれるね。

料理人のなかには、「しょっぱい」という言葉を恐れて、塩を控えることがあるんだけど、控えすぎると味がぼやけて、まずくなる。だから本来、「しょっぱい」と言われるより、「味気ない」と思われていないか、そっちに気を向けなくてはならないんだよ。

―― 油の質、塩加減が旨いラーメンの決め手となっていたとは。
入ってみるか、どうか迷ったら、清潔感で決めてみる
―― では、店選びにポイントなどはありますか?
旨いラーメン店の選び方、これもよく聞かれる質問なんだけど、チェック項目を作るのは本当に無理。よくさ、営業時間が短いお店がいいとか、ネオンがうるさくない店だとか、夫婦でやっているお店が望ましいとか、色んな説が言われてるけど、どれも根拠がなく、イメージでしかないんだよね。

唯一言えるのは、その店が清潔かどうか。昔はよく、ラーメン屋は汚いぐらいの店のほうが旨いとか言っていたけど、それはなくて、やっぱり清潔感のある店のほうが、旨い確率は高いよね。衛生に気を使えない人っていうのは、食材にも気を使えないし、食材に気を使えない奴は、旨いものも作れないから。だから、テーブルが油でベタベタとか、そういう店は厳しいんじゃないかな。

―― それは説得力がありますね。
家庭では食べられない味
―― では、石神さんが選ぶラーメン店に共通していることってありますか?
その店だから食べられる味かな。よく店のキャッチコピーで、「家庭の味」って使われるけど、僕は、わざわざ家で食べれるものを外で食べる必要はないと思うんだ。もちろん、単身赴任者や、独身者をターゲットにした定食屋など、それなりにニーズがあってビジネスは成立していると思うけど、やっぱり、わざわざ足を運んで食べに行くのだから、家庭では食べられないプロの味を求めるよね。

―― プロの味というと、具体的に?
ラーメンなら、スープ、タレ、それぞれ仕込んで、一からお店で作るラーメンのこと。今、半分以上といっても過言ではない数のラーメン屋が、業務用のスープを使っていて、実際によくできていて、旨いんだけど、その味には明らかな違いがあるよ。
700円払って店で食べる味が、200円のインスタントラーメンと似た味だったら、納得できないでしょ。どっちも旨いけど、その旨いの種類に違いがあるからね。だから、僕が選ぶ店の基本は、すべて自家製スープにこだわり、仕込みをちゃんとしている店だね。
第五のラーメン、鶏白湯
―― 首都圏を中心に、魚介系ラーメンが流行っていますが、次は何が来ると予測されますか?
鶏白湯ラーメンだね。まず、今全国で最も食べられている人気のラーメン、それがトンコツなんだけど、日本人の舌がここ数十年の間で、すっかり西洋化して、動物性の味、動物系の油が入った食を求めるようになったんだ。トンコツスープは、表面に浮いている油だけでなく、スープそのものが豚の油と水でできているから、今、日本人が求める嗜好に合っているんだよね。
トンコツスープのいいところって、油が水に溶け込み、こってり、まったりしていて、そこにコクや旨みを感じるんだよね。そのまろやかな旨みを持ち合わせ、かつ獣臭さがない動物性のスープ、それが鶏白湯なんだ。あるところでは、高齢化に伴い、醤油や塩ラーメンのようなあっさりしたラーメンに戻っていくという説もあるけど、年取った人が、そんなにラーメンを食べるとも思えないし、動物系がやっぱり増えていくと思う。

―― そうですか。では今後、鶏白湯はブームというより、定番のスープとして定着すると?
トンコツと渡りあうまでの幅には広がらないまでも、その店は定着していくと思う。
ラーメンの二極化がくる
―― 今後、ラーメン店はどう変化していくと思いますか?
ジャンルでいえば、醤油、塩ラーメンはすたれていくと思う。あと、店のスタイルは、完全二極化が進んでいくね。

―― 二極化?
そう、安いラーメン店と、高価格帯のラーメン店へ別れていく。餌としてのラーメン、つまり味を求めるというより、腹を膨らますラーメンを安く提供するラーメン店と、味で勝負するラーメン店。ほら、立ち喰いそばに過度な味の期待はしないじゃない。一方、こだわった高いそば屋も人気があって。ラーメンも同様の道を進んで行くと思うよ。
【処】街のあの人がお勧めするとっておきのスポットをご紹介!
珈琲店 邪宗門  (こーひーてん じゃしゅうもん)
トランプを操る作道氏。マジックは、サービスで披露してもらえます。
珈琲、マジック、美空ひばりコレクション、3つのマニアをを揃えた喫茶店です。40年程前、邪宗門の創業者、「門主」名和孝年に惚れこみ、マジックを覚え、自宅を改装して始った邪宗門。珈琲を頼み、店主、作道氏にリクエストをすれば、気持ちよくお相手してくれます。アンティーク小物を揃えた店内奥には、年代物のドーナツ盤ジュークボックスを備え、美空ひばりさんの唄が店に響き渡ります。
店の奥は、昭和の面影をそのまま運んだ記念館。
あんみつ珈琲700円
蜜の代わりに珈琲をかけて食べるあんみつ。珈琲の苦味が、あんことよく合う、夏の涼しい甘味珈琲。
珈琲店 邪宗門
住所 世田谷区代田1-31-1 [地図をみる]
電話番号 03-3410-7858
営業時間 9:00〜18:00 ※閉店時間は、延長あり
交通手段 小田急線/京王井の頭線「下北沢」駅から徒歩12分
東急田園都市線「三軒茶屋」駅から徒歩15分
街の案内人プロフィール
石神 秀幸  氏

▲ ご自宅の仕事部屋にて
1972年 世田谷区生まれ。

10年前、TVチャンピオン「ラーメン王」選手権に出場優勝。以後評論家とし、メディアを中心に各界で精力的に活動。2003年、食のコンサルタント会社、有限会社ゼッター(現、株式会社ゼッター)を設立。

現在、ラーメン本の執筆をはじめ、レストランなど飲食店のプロデュースやカップヌードルの開発コンサルタントなど、幅広く「食」の業界で活躍中。
北沢川緑道にて。ここを歩き、新作ラーメンのイメージを考えることも。
下北沢にある珈琲店、「花泥棒〜ヴォルール・ドゥ・フルール〜」にて。
自宅近所のカフェ「ZEST」にて。

「ラ・テール洋菓子店」のケーキをテイクアウト。自宅の居間でくつろいで頂きます。
最近おもしろ半分に購入したトランポリンで、軽く気分転換。
一日の疲れを癒すのは、やっぱりビール!三軒茶屋駅近くの大衆割烹「味とめ」にて。
>>Vol.1「縁 〜日常の風景〜」へ    



新宿区タウンTOP  >  この街あの人! 石神 秀幸 氏

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